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4月8日。
今日は俺の始業式…そして陽和の入学式の日だ。
俺たち在校生の登校時間は通常通り。
もっとも俺は、部活の朝練があるから早いんだけど…。
そして新入生の登校は午後から…なのだが、なぜか陽和は俺と並んで登校しているなう。
「お前さぁ…、昼までどうやって過ごすつもりなん…?」
「…あ、考えてなかった!」
アホだ…。
「いいんだもん!お兄ちゃんとこんな風に登校してみたかっただけだもん!」
そう言いながら擦り寄ってくる陽和。
可愛らしいことを言ってくれるが、その膨れっ面では負け惜しみにしか聞こえないぞ…。
「お兄ちゃんの朝練、見学しててもいい…?」
「そりゃ構わないけど、ボールが飛んできたら危ないから、ネット裏から離れないこと。それと、誰かに声を掛けられたりしたら大声で呼ぶんだぞ…」
「心配しすぎだよ、お兄ちゃん…」
「兄として当然のアドバイスだ!」
余所の兄が当然と思ってるかどうかは知らないけどな…。
「そう言えば、坂本先輩もサッカー部だよね…?朝練に来るかなぁ…?相変わらずイケメンかなぁ?」
「まぁ、キャプテンだからな…。あと、あの人はヤメとけ…」
ウチの妹に限って大丈夫だとは思うが、一応釘を刺しておく…。
「…まだ何も言ってないけど~。それも兄としての当然のアドバイス?それとも…ジェラシ~?」
楽しそうに聞いてきやがる…!
「…んな訳あるかっ!ホラ、着いたぞ。お前はここで大人しくしてなさい!」
陽和をネット裏のベンチに座らせておいて、俺は部室へと向かった…。
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