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朝練が終わり、右近と皐月と3人で教室へ。
まずは旧クラスで朝のHRを行うらしい。
新クラスの発表は始業式のあとだとか…。
ちなみに陽和は暇を潰してくると言ってコンビニへと旅立った…。
教室では、1年間慣れ親しんできた仲間たちが名残惜しげに語り合っている。
右近と無駄口を叩きながら席に着くと、まず葵が話し掛けてきた。
「たっくん、おはよ。今朝の占いは、たっくんの水瓶座が一番ラッキーだったよ!また一緒のクラスになれるかもね!」
なんで俺がラッキーだと一緒のクラスなんだ…?
また今年もノート写させて貰えると思えばラッキーかも知れないけどな…。
「ちなみに山田くんの獅子座は最下位でした…。全くどうでもいいけど」
なんとまぁ、バッサリと…。
ほら、本人は完全に沈黙しちゃったし…。
脆くも崩れ落ちた右近に軽くスルーを決め込んだところで、もうお馴染みの喧しくも凛々しい声が耳に突き刺さってくる。
「おはようございます、天夏太平っ!」
「朝から喧しいぞ、みおりん!」
「みおりん言うなっ…!!」
学級委員長様は今日も絶好調のご様子…。
「いい?よ~く聞きなさい!私はアナタに借りを作ったままクラス替えを迎えるわけにはいきませんのっ…!」
いや、むしろそのまま別のクラスになってくれることが最大の恩返しだと思うぞ…。
「なので、特別に…、特別によっ!理事長先生に進言して、新クラスも一緒になるよう計らうという約束を取りつけて来たわよっ…!」
ナンテコトヲシヤガッタ…!!
確かに龍禅院グループの寄付金がなかったら、学校の経営が円滑に進まない…。
だからといって、そんなリーサルウェポンを使ってまでそんなアホな約束を取りつけて来るなんて…。
そこまでして俺に借りを返したいのか…?
義理堅いというか何というか…。
「開いた口も塞がらないほど喜んでくれているの…?ま…まぁ、感謝することねっ…!」
そして自分の席に颯爽と戻って行くみおりん…。
登場も唐突なら撤収も唐突だなぁ…。
「なぁ、葵…。ホントに今日の俺、ラッキーなのか…?」
葵のほうに目を向けると、俺の話そっちのけで何やらブツブツ呟いていた…。
不覚…とか、何でその手に…とか、こうなったら…とか。
目がマジなので見なかったことにしておこう…。
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