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(3)
体育館での始業式も無事終了。
いつものように校長先生の話は短く、小百合先輩は美しかった。
俺は1年前と同じように、葵と一緒に掲示板へと向かっている。
しかし、さっきから葵は話し掛けても上の空で、時折ブツブツと何か呟いては不穏な表情を浮かべている。
てか、マジで怖いですよ、葵さん…。
一体、何があったというのですか…!?
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
「ヤッホー、太平っち~!俺たちまた一緒だなっ!」
馴れ馴れしく飛びついて来る悪友こと右近。
同時に、獲物を射抜くが如く突き刺さる葵の鋭い眼光…!
「あれ…?今日の葵っち、ひょっとしてご機嫌ナナメ…?」
本能で何かを悟り、そそくさと逃げて行く右近…。
当の葵さんはというと、この世の終わりとでも言いたげな深く暗い目を俺に向けていました…。
「今年は違うクラスだったな…」
「あれだけ念じてたのに…。お百度参りまでして、御守りも沢山買ったのに…。最後の手段で禁断の呪詛も唱えたのに…」
なんか不穏なワードが聞こえた気もするけど、小声すぎてよく聞き取れない…。
「たっくんっ!!」
突然の大声に驚く俺…。
「離れ離れになっちゃったけど、今まで通りお弁当は一緒に食べようねっ…!」
「お…おう…」
「部活帰りも一緒に帰ろうねっ!」
「…まぁ、できる限りは…」
「…それと、私のことは忘れないでいてくださいっ!」
そう言い残して葵は走り去って行った…。
やっぱ今日の葵は何かおかしいな…。
まぁ、放課後には元に戻ってるだろ。
難しく考えるのはやめて、俺も自分の教室に行くとしよう…。
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