初めての義

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バイトが終わったのは夜の十時を少し回ったあたりだった。 バイト先は、足すと十八になる数字のコンビニ。 時給は安いのだが、高校生のぼくにしたら、十分過ぎる。 ロッカーの前で制服を脱ぎ、ハンガーにかける。 少し勢いよくロッカーを閉めると、駒座とかかれたネームプレートがゆらゆら落ちた。 「また落ちた。」 僕は自分の苗字がかかれたプレートをゆっくり広い、ロッカーにつけ直す。 手慣れたものである。 だてに約三年間アルバイトを続けている訳ではない。 高校一年の春、ぼくはアルバイトを始めた。 兄とぼくの二人暮らし。 兄は刑事をやっているが、けして裕福な暮らしができる訳ではない。 「心、金の心配はするな。俺がなんとかするから。 駒座の誇りにかけて誓う。」 兄の言葉を思いだす。 兄はいつも「シン、シンパイするな」「コマザノホコリにかけて」などなど言っている。
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