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その後、バンブルドアは姿を消し
家の中はまた朝の穏やかな空気に包まれた。
俺は学校があるので、とりあえず行くことにした。
残り少ない命だから、わざわざ学校に行く必要なんてないが、今日まで、平日は学校に行くという習慣が定着しているようで、気付けば通学路を歩いていた。
『余命宣告を受ける』というのは、俺にとって辛いことではなかった。
だからバンブルドアは俺を選んだのだと思う。
親もいない、友達と思える人も少ない、そして、自分自身がいつ死んでも平気だと思ってる。
そんな都合のいい人間、俺以外にそうそういないだろう。
むしろ、俺の命で世界が救われるなら光栄、生きてた甲斐があったってもんだ。
「ねーねー、おにいさん。」
と、不意に話しかけられる。
振り返ると小さな女の子が立っていた。
「ここってどっちですか?」
と、マジックで描かれた地図を指差してたずねてきた。
目を凝らして奥の方を見てみると、カメラを持ったオッサンが女の子に付いてきていた
なるほど、『はじめてのお○かい』か
「あぁ、そこならこの道をまっすぐ行けばわかるよ。」
と親切に教える俺
「ありがとう!」
女の子は元気にお礼を言って、信号を……
!!
「おい!!!まだ赤だぞ!!!」
「え?」と女の子が振り返る。
が、既に信号の真ん中まで移動していた。
女の子に大型トラックが迫ってくる。
周りの大人達も気付いて駆け付けているがとても間に合いそうにない。
くそっ!!
俺が助けないと!!
足が自然に動く。
そして、女の子とトラックの間に体を入れる。
プップーーーーー……
ガシャァァアアン……
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