1章

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駅のホームに着き列へと並ぶ。 周りの五月蝿さに嫌気がし、携帯で音楽を聴きながら今月の売上表を見て電車を待つ司。 (今月の売上ノルマは達成してるから、来週から少し設定甘めにできるなー。新台入れ替えまでまだ期間あるし、イベントでもやっとくかねぇ) そんな事を思いつつ、久々の休みである明日の予定を考える。 (とりあえず帰ったらゲーム入ってクエやって生産だな。午後までゆっくり寝て図書館でもいくべ) どこにでも居る若者のように休日を満喫しようと考えていると、ふとそれが目に入った。 (あれ・・携帯落ちてる。線路に落ちそうじゃんっ。先頭の人のかな?) さすがに携帯は教えてあげないと可哀想だと思い、自分の並んでた場所にカバンを置き、その携帯を拾いに行く。 終電も近くなってるこの時間、列は長くホームは人で溢れている。 さすがに自分の場所はキープしておきたい。 「すいませんー。携帯落ちてるんですけど、あなたのですか?」 列の先頭に並んでいた20代後半の女性に声をかける司。 「あ!すいません、私のです!ありがとうございます」 司の拾った携帯を受取りながら何度もお礼を言う女性。 「気にしないでくださいー。」そう言って笑顔で返すと、列へと戻ろうとする時事件が起こった 酔っ払いの集団が、周りも見ずに騒ぎながら向かってきて、その女性にぶつかってしまったのである。 しかもタイミング悪く電車がホームに入ってきたところ。 周りの喧騒と電車の音のせいで気付いてる人はおらず、ぶつかった酔っぱらいと携帯を渡した司だけがその最悪の自体を理解していた。 .
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