1章

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そんなあきらめムードの中、ホームの下から非常に済まなさそうな声が聞こえてきた。 「あのぉ・・」 その場にいた誰もが自分の耳を疑ったであろうその時、ホームに手がかけられ、ガバっと司が出てきたのである。 「なんか・・生きててすいません・・・」 あまりにもホームが騒然としていた為、電車が後方に移動してもなかなか出るに出にくい空気だったのである。 そんな訳もわからぬ司の台詞に、戸惑いながらも駅員は司に駆け寄り体に異常がないか聞き、またその側では号泣しながら何度も何度もお礼をする女性、そしてあまりの出来事に酔いも吹っ飛び、顔面蒼白で謝罪する元酔っぱらいとその仲間達。 それを遠巻きに見守る群集と、なんとも言い表せられない空気となっていた。 そんな中、一番の当事者である司は (めんどくせぇ・・早く帰ってゲームしたかったのにぃ) と、てんで的外れな思いで苦笑いをしてたのである。 。
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