送り盆より

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星野にきてから一カ月の送り盆の日。 和泉家には線香の香りが漂っていた。 来客が帰った後の仏間。 そこで僕はただぼんやりと眺めていた。 «結城君。今この家にはご先祖様、そして結城君のご両親がいるんだ。» お盆は故人を迎える儀式。 この空間にいるらしい両親に、思念を送るように強く想う。 いるなら戻ってきてくれれば良いのに。 僕をこんな田舎に置き去りにしないで迎えに来てくれればいいのに。 両親が死んでから一か月がたった。 僕にだって無理だと分かっている。 星野の生活には慣れてきたが結局は寂しかったのだ。 「っ!?」 胸が軋み涙が溢れそうになった、その最悪のタイミングに部屋に誰が部屋に入ってきた。 振り返ってから後悔した。 「ゆうちゃん、泣いてたの?」 「泣いてない」 はるねぇが真後ろまで近寄ってきた。 肩に手を置いてきた。 それは僕には、私にもその気持ち分かるよ、と言われているようだった。
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