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「…ん、よ」
「すみません、聞こえなかったです。」
あたしが聞き返すと先輩はあたしの制服の裾を掴みながらもう一度呟いた。
今度はあたしの耳にも届き、固まってしまった。
「先輩、冗談ですか?」
信じられなくて、そう言うと先輩は無言で首を横に振った。
「あ…えっと、」
あたしはまだ信じられなくて口が閉まらない。
「ごっゴメンね!!忘れていいからね」
勢いよく立ち上がる先輩にあたしは慌てて、先輩の制服を掴んだ。
「忘れませんよ、忘れられませんよ…。」
先輩が驚いたように目を見張る中であたしは先輩から目を背けた。
「ありがとう」
さっきと同じ優しい声で言われ、ちらりと先輩を見ると今まで見たことがないほど嬉しそうに笑う先輩がいた。
ー君が好きなんだよ-
fin...
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