3人が本棚に入れています
本棚に追加
【課題】
本当の恋と嘘の恋は違う。
その明確な違いを気付いたのは高2の夏だった。
「あぁあぁああ、暑い!!!!」
夏の暑さが毎年嫌になるのは予想出来ていることだが、頭の中の予想と体で感じる体感では全く別物だ。
それは今年も例外ではなく、毎日うなされるような暑さを感じながら学校に向かい歩を進める。
「悪いけど、言葉に出さないで…もっと暑くなる」
「あぁ、ゴメン。ってなんであんたがあたしの隣にいんの!?あんた補習免れたんじゃなかったの…?」
隣にいるのは同じクラスの男子の工藤。
補習常連のあたしと工藤は今年も補習になった…はずだった。
しかし、今年の夏だけ工藤は補習を免れ、あたしだけが行く羽目になっている。
「あぁ、強制じゃないらしいんだけど、ぎりぎりだったから出来たら来いって言われたんだよ。」
「それって補習じゃん」
「いや、違うぞ。地獄ないもん」
「はぁ!!!!ふざけんな!!!あたしだけあの地獄をくらうのか」
地獄とはノルマ課題のことで大体1教科につき、5枚ほどのプリントが出され、全て終わらないと帰れないという地獄で、あたしは2教科なので10枚やらなければならない。
暑い中、冷房設備が一切ない教室でやるのは地獄としか言えない。
「まぁ、教えてやるから」
「うわ、お前に教えてもらうとか死にたい…。」
「…それ、逆に俺にダメージ来てるよね」
「逝け」
「最悪っ」
けらけらと笑う工藤にあたしも釣られて笑った。
最初のコメントを投稿しよう!