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つり目だからはっきりしてるって昔から耳タコなくらい言われてきた。きっと何気ない一言。でも、私は人知れず傷ついたの。大きい猫目が嫌になった。
仲間内でも案の定話題になる。
「顔からして性格きつそうだもんな~。」
って。
「言われなくても。わかってますよ。」
可愛くない返し方。こんな言い方しか出来ないから、言われるんだろうけど。
周りはやっぱりって言っていつもみたいに笑った。
なのに、彼は違った。
「意外と泣き虫なのにね。ギリギリまで我慢しててもわかるよ。」
談笑してる仲間には聞こえてないみたいだったけど、私にははっきり聞こえた。彼は何食わぬ顔して、また話に交ざった。
私は、突然言われた言葉に頭が回らずただただ彼を見つめた。
恋に落ちるには充分過ぎる殺し文句だった。
普段なら、気付かれて恥ずかしいって思うのに。
気付いていてくれて嬉しいなんて。きっともっと前から私は彼が好きだったんだ。あの言葉は最後のだめ押し。完全に自覚してしまった恋の予感に1人浮かれてた。
この時までは。
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