猫チック

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空気はひんやりと冷たくて、手がジンジンする。 朝からテンパりすぎて、手袋を忘れた自分の馬鹿さ加減に呆れて少し冷静になれた。 二人の空間は相変らず穏やかで、何も話さないことが嫌じゃなくて、落ち着く。 あんなに練習した言葉は無意味だった。散々考えて軽く寝不足になったのに、結局私はありふれた言葉で伝えた。 「ねぇ、好きだよ。」 彼はゆっくり振り返って笑った。 「返事遅くない?」 と、意味不明な発言をしながら。
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