誰にも云えない恋

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夫と子供たちを送り出して、私はやっと一息つく。 「フゥ………。全く、なぁにが口煩いよっ?父親なんだから、もう少しガツンと言ってくれれば、あの子たちだって少しは変わるのに……。まぁ、宏之には無理か……」 夫の宏之とは、大学の絵画サークルで知り合った。顧問だった宏之は、入ったばかりの私を一目で気に入ったらしく、何度も交際を迫ってきた。カッコいいと人気があったし、先生だったから、私はあまり関わりたくなかったけど、あまりに一途な想いをぶつけてくる宏之に、私はほだされた。その後、私が大学を卒業した後ゴールイン。 あれから17年。今となっては、あのときのトキメキすら感じなくなってしまった。 忙しい毎日を過ごしながら、時々ふと考えてしまう。 もしも、夫と一緒になってなかったら、私の今は変わっていたんだろうか? もし、別の人と結婚していたら……?なんて、考えてしまう。 「なーんて、今さらよね。」 もし、そうなってたら、杏奈や海斗には会えなかっただろうし。 でも、最近何だか物足りない。
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