~Prologue・始まり~

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四月、暖かい日差しが桜並木に降り注いでいる。その並木道に続いた先に見えてくる桜学園では、本日、入学式が行われる。 「晴れてよかったね~」 二重の大きな瞳を輝かせて、大塚 美花(おおつか みか)は新入生受付の長机の前に立ち、爽やかな青空を見上げた。 「そうだね、雨だったらせっかくの入学式台無しだったよ」 と返事を返しながら、つられて優(ゆう)も青空を見上げる。 美花と優は四月からニ年生。初々しいであろう新入生を、二人は楽しみに待っている。 「それにしても、会長、まめだよね~」 ミニバラを両手の平で、コロコロと遊ぶように転がしながら優が喋る。 「そう!新入生の為に歓迎のバラだよ、しかも生花!」 「相変わらずキザ~」 うひひっと、面白そうに笑う優。見た目に似合わず茶目っ気のある優は、美花の小学校からの親友だ。優とはとても気が合い、美花がふざけ合える一人である。 そんな優は身長155センチと小柄で、身長171センチと背の高さがコンプレックスである美花にとって、優の可愛さは手に入らない憧れである。 優は切れ長の目元でくっきり二重まぶた。茶色がかって肩より少し長い髪の美花とは違い、ボブの黒髪ストレート。見た目、綺麗できつそうな雰囲気だけど喋ると面白い。美花はそんな優が大好きだ。
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