~Prologue・始まり~

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「キザかな?」 笑う二人の真上から声が降ってきた。 「きゃあ!?」 思わず叫んで長机にぶつかる優。そして美花は、驚いた顔で後ろを振り返った。 「会長~!びっくりした。急に現れないでくださいよ~」 ぶつかって動いた長机を直しながら、美花は困った顔で冴島会長を睨んだ。 冴島 豊(さえじま ゆたか)。桜学園の生徒会長である。背が高く、171センチある美花も見上げることが出来る。 甘い顔で、女子生徒に人気があり、もちろん頭が良くリーダーシップのとれる会長は男子生徒にも人気がある、先生からも一目置かれる存在。 「ごめん、ごめん。そんなにびっくりするとは思わなかった」 豊は陽気に笑いながら、二人に笑顔を向ける。 「びっくりした~~!」 右手で胸元を押さえて、優は大きく息を吐いた。豊はそんな優に顔を向けて、 「ところで……キザかな?せっかくの歓迎だよ?これから記念すべき入学式!このくらいしてあげたいよね?」 優の一言が気になったらしく、笑顔で説明する豊。有無を言わせない笑顔だ。 「そ、そうですよね~~」 苦笑いしながら、美花と優は豊の笑顔に頷いて答える。 「プッ!」 美花達のやり取りを見て、クスクス笑いながら、体育館から副会長の谷本 基也(たにもと もとや)が出て来た。
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