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もうすぐ10時か、という様な時間になると部屋でごろごろしていた俺の耳にガチャと玄関の開く音が届いた
「おっ、帰ってきたか」
出迎えてやるために俺が1階に降りて玄関へ向かうと確かにかなみはいた、少し思い悩むように下を向きながら
「かなみ?」
「え…?あ、ただいまです」
パッといつもの様に笑顔で返事をしてくるが、どうにもぎこちない……気がする
「おお、お帰り。どうした?なんかあったのか?」
「…別に何もないですけど、えっと…なんでそう思うんですか?」
「いやなんとなく悩んでるように見えたんだけど…」
「変なお兄ちゃん、何もありませんよ」
「ならいいけど何かあったら相談しろよ?これでも兄貴なんだからな」
「そう…ですね、何かあったら」
どうにもおかしい、何かが違うけど踏み込みすぎるのも良くないし…どうするか…まあとりあえず
「かなみ、ご飯か風呂か俺かどれにする?」
冗談をかましてみた
「お風呂入ります…」
「…………おう」
スルーすか、さいですか…
かなみが風呂場へ行くのを見送ってから気を取り直してご飯の準備をしようと思ったところで玄関に置きっぱなしの鞄が目についた
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