55人が本棚に入れています
本棚に追加
ルドン地方
(夢)
ジェラールが、夢を見ていた・・
宮殿に幼い自分と兄がいた。
「ルドン鉱山で、モンスターが!?」
若き日の皇帝、レオンがそう言って大臣を見た。
「いかん!あそこには・・・」
慌てながら、レオンが出兵の用意を始めた。
「兄上、いったい何が・・・・」
幼く事情の飲み込めないジェラールが不安げに、兄のヴィクトールに尋ねた。
「大丈夫だよ!ジェラール・・・きっと父上が母上を守ってくれるよ」
ヴィクトールが、ジェラールを励ました。
「母上・・」
ジェラールが、夢からさめた。
「母上・・兄上・・父上」
ジェラールが、ベッドから起き上がって、汗をかいた服を取り替える。
『懐かしい夢を見た・・・・父上が出兵した翌日に、母上の死んだ知らせが届いた・・』
ジェラールが、服を着て鎧をまとった。
『あの・・・・母上が死んだ土地ルドンに向かうのか・・・』
ジェラールが、椅子に座って考え始めた。
「ルドン鉱山は、母上の死により閉鎖・・・ティファールは帝国領から離反・・・」
ジェラールが、窓の外に映える月明かりを見た。
「母上、私はあなたが最後に足を踏んだルドンの地へ向かいます」
ジェラールがそう呟いていた。
(王座の間)
「ジェラール様、おはようございます」
「ああ、おはよう」
大臣がジェラールに挨拶をする。
「ヘクター達は、どうしている?」
「明日の出立に向けて、道具や武器のチェックをしております」
大臣がジェラールに、そう答えた。
「そうか・・・・・・ルドン鉱山・・・今は、恐らくモンスターに・・・・・・」
「閉鎖されておりますから・・・・・・恐らくモンスターに占領されている事でございましょう・・・」
大臣が客観的に、そう述べる。
「ティファールの帝国に、関する反応は?」
「数年前に、比べたら・・・・・・恐らくだいぶ変わった事でしょう・・・・・七英雄クジンシーの撃破、運河要塞制圧、竜の穴との協定など・・・・帝国の善政により、ティファールも帝国領復帰を望む可能性もあるかと思います」
最初のコメントを投稿しよう!