遥かなる戦いの詩

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優しい兄であり、勇猛果敢と誉れ高いヴィクトールが心配そうに、ジェラールに駆け寄った。 「大丈夫だよ兄さん、でも父上達に付いて行くのでやっとだったよ」 ジェラールが健気にも疲れを見せぬよう、空元気にも似た笑顔を見せ、ヴィクトールに答えた。 「父上、やはりジェラールを戦場へ連れて行くなんて、無理です!・・・人には、向き不向きがあります!ジェラールは、学問が得意ですから無理に戦わせないでください!」 弟思いのヴィクトールがレオンに、そう訴えかけた。 ヴィクトール20歳、ジェラール15歳と年の差がある物のヴィクトールは幼い時から、弟を気遣う兄だった。 勇猛果敢で、体が丈夫だったヴィクトールと違って、ジェラールは幼い時から、体は丈夫な方では無かった。 故にヴィクトールは、ジェラールが戦わねばならないのが心配でならないのだ。 「ヴィクトール・・・・お前の言う事もよくわかる・・しかし、このご時世だ・・・力が無くては、生き残れないのだ・・」 レオン皇帝も民を気遣う立派な皇帝にして、家庭でもよき父親だった・・・・レオンの一言の重みや、誰よりもジェラールに良い事を考える点で長い目で考えるレオンが、やはり上だった。 しかし、若さ故にヴィクトールには、目先しか見えずいつもレオンと話し合っていたのだ。 「それに、いつまでも我々が・・」 「失礼します・・・またオアイーブという女性が面会を求めておりますが・・・・」 レオン皇帝の話しを遮り、兵士がレオンに来客を告げた。 「またかここ最近は、頻繁だな・・・よし、通せ・・・」 レオンが、オアイーブという女性を王座の間に通す。 オアイーブとは、いま巷を騒がせている占い師なのだ・・よく当たるという評判でなく、七英雄についての警告を伝えるというもので、有名なのだ。 いつもなら、レオン皇帝は彼女に会おうとはしないが、今回はヴィクトールとの話しを打ち切るダシに考えたのだ。 「レオン皇帝陛下、ご機嫌麗しいようで何よりです・・・・」 オアイーブが、レオンにお辞儀した。 「ヴィクトール、ジェラールは席を外せ」 「はい」 「は、はい」 二人の皇子が、王座の間を後にする。 (宮殿) 「あの女め、運がいい・・・・・話しを打ち切るダシにするため、父上が謁見に応じた」 ヴィクトールは、レオンが彼女に会う理由を見抜いていた。 「兄さん・・」
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