遥かなる戦いの詩

4/24
前へ
/408ページ
次へ
「ふう、しばらく時間を潰してくる・・・ジェラールは疲れているんだから、ゆっくり休むように」 「兄上も」 ジェラールがそう言うと、緊張が緩んだのか、ふうと溜め息をついた。 「お休みになられなくても?」 「大丈夫」 ジェイムズにそう尋ねられ、ジェラールも辺りを歩き始めた。 「あ、ヘクターおはよう」 ジェラールが、アバロンが誇る傭兵(フリーファイター)のヘクターに声を掛けた。 彼は、父親の代よりアバロンに仕えているジェイムズ達の部隊と違い、レオン皇帝が即位してから雇われた男たちなのだ。 「おはようございます・・戦場に出られたそうで?」 ヘクターがジェラールに尋ねた。 「あ・・うんまぁ・・」 「ジェラール様は、本を読む方がいいですよ・・戦いには、向き不向きがありますから」 多少、トゲを感じさせる物言いでヘクターが外に出た。 「あいつが一番王宮に、不向きだろうに」 ジェイムズが溜め息混じりに、ヘクターの後ろ姿を見送った。 「この前は、フリーファイターたちにレオン皇帝の息子がそんな事で、どうします!?と言われたが・・どちらが正しいのかな」 ジェラールが迷いながらそう呟いた。 「レオン皇帝陛下のお考えが正しいかと・・・やはり、力が無くてはこのご時世を・・・」 「まぁ、やはりその通りだよね・・・・父上が正しいよな」 ジェラールが納得し、いつものように宮殿に仕える幼なじみに会いに行った。 (術士の詰め所) 「ジェラール様おはようございます」 「おはようございます」 二人の術士が、ジェラールに挨拶をする。 宮廷術士男、アリエスと同じく宮廷術士女のエメラルド達が、ジェイムズ、テレーズ、そしてジェラールの幼なじみだった。 「おはよう二人共・・・」 ジェラールが挨拶をすると、エメラルド達が持っている坪に注意を傾けた。 「もしかして・・・・」
/408ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加