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「はい、この間言っていたファイヤーボールです・・・せっかくですし覚えて行かれますか?」
エメラルドがそう言って、昔と変わらない笑顔をジェラールに向けた。
「出来るかな?私に・・」
「出来ますよジェラール様は、レオン皇帝陛下のご子息、血筋が御座います!」
アリエスが自信満々に、ジェラールを見た。
「できた!」
「さすが、出来ましたね」
周りの仲間達が、ジェラールに拍手を送る。
「でも・・・・ちゃっちい炎だね・・・」
ジェラールが、苦笑いしながら、自分のファイヤーボールを見てそう言う。
「覚えたてですから・・・使えば使うほど、熟練度が上がって強くなりますよ」
「物理的な攻撃が、あまり効かないモンスターなどにも有効ですしね」
「あ、本で読んだ事があるよ・・・スライム系のモンスターだね?」
ジェラールがみんなを見る。
「その通りです」
「そっか・・・ありがとうエメ、アリエス」
彼女達にお礼を言って、ジェラールが詰め所を後にした。
(王座の間)
しばらくしてから、王座の間にジェラール達が戻ったが、既に兄のヴィクトールが先に来ていた。
「父上、オアイーブは?」
辺りを見渡したがオアイーブの姿はなかったため、ジェラールがそう尋ねる。
「・・・・・・・・数日前、ソーモンにクジンシーが現れたのは知っているな?」
レオンが二人を見る。
「はい」
「七英雄に、気をつけろと警告して来た・・・・奴が本物なら伝承通り、世界を平和に導くかも知れないが・・・・・・・・その気を起こさない・・偽物なのか・・」
レオンがそう言いかけ、二人を見た。
「まぁ、しばらく様子見だ・・・ヴィクトール、いつものように留守を頼むぞ・・・・・・・・ジェラールは、私についてきなさい」
レオンがそう言ってすぐ立ち上がって、また外出の用意を始めた。
「ジェラール、しっかりな・・・・・父上、お気をつけて」
ヴィクトールが敬礼して、レオン達を見送った。
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