カンバーランド王国

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「カンバーランドから帰って間もないし疲れているだろう?・・・・・・せっかくの休暇だ・・・・・休んだ方が・・・・」 ジェラールがヘクターを案じて、休暇を満喫するよう薦める。 「有り難いお言葉ですが・・・・・酒のみ仲間のベアが向こうにいるため・・・・・・・隙を持て余しているんですよ・・・・」 溜め息混じりにヘクターが、ジェラールにそう答える。 「確かに・・・・・おごってくれるベアがいないんじゃあな・・・・・30クランじゃ酒どころか、菓子も買えまい」 ジェラールが、笑いながらヘクターを見た。 「まぁそういうことです」 「キャットとは、酒場で話そう・・・・・・今回は、私がおごる」 「本当ですか!?・・・・・いや、せっかくアバロンに帰っても、酒が飲めないとガッカリしていた所だったんですよ!」 ヘクターが嬉しそうに、自分の主君ジェラールに今までで、見たこともないぐらい見事な敬礼をした。 「私もベアやジェイムズ、テレーズがいなくて寂しい所だったからな・・・・・・・・気にするな・・・・・・・さ、キャットを探しに行くぞ」 ジェラールが笑いながら、キャットを探しに街の外れにある墓地へ向かった。 (シーフギルド) アバロンの裏の顔、表には決して出ない彼らは、墓地に隠れ家を構えていた。 「邪魔する」 「皇帝さん!」 突然現れたジェラールに、キャットが驚き駆け寄った。 「俺もいるぜ」 「あ!30クラウンも!」 「ヘクターだ!!このクソアマ!!・・・・・・てか、また変なあだ名を広めたのは、絶対にお前だろ!!」 ヘクターがキレながら、キャットに詰め寄った。 「キャハハ、冗談よ冗談」 キャットが悪戯ぽく笑いながら、ヘクターを見る。 「お前が言うと、冗談に聞こえないんだよ!」 「あのさ・・・・・・話していいかい?」 入り込む余地がなかった、二人にジェラールが恐る恐るそう尋ねた。 「あ、はい・・・・・・」 ヘクターが軽く咳払いをし、一歩後ろに下がった。 「実は、キャットには、今回の旅に付いてきて貰いたいのだ」 「・・・・・?」
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