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大臣がそう言って、ジェラールを見た。
「そういえば・・・・・今時期でしたね・・・・・ジェラール様の母君が亡くなられたのは・・・・・・・・」
「・・・・ああ、そうだったな・・・・・・考えてみれば・・忙し過ぎて、父上や兄上の命日も・・・・」
ジェラールがため息をついた。
実際、歴代皇帝の命日の式典は、ジェラールが廃止したのだ・・・それは、戴冠式を廃止したのと同じ理由である。
「私は・・・・・親不孝だな・・・・家族の命日すら忘れているなんて・・・・」
「ジェラール様は、カンバーランドの再建や国政にご多忙の身・・・・無理も御座いません」
大臣が仕方ないという表情で、ジェラールにそう言った。
「・・・・・ところでカンバーランドからの連絡とかは、あるか?」
「今のところは、順調に思われます」
報告書を見ながら、大臣がジェラールにそう話す。
「そうか・・・・・・援助の物質や人材は、ふんだんに与えるようにな・・・・」
「はい」
「・・・大学と研究所は、どのぐらい進んだ?」
ジェラールが大臣に、建設の行程を尋ねる。
「まだまだかかりますね・・今、地下の排水システムを工事してまして・・・」
「そうか・・・・・私がアバロンを留守にする間、また頼むぞ」
ジェラールがそう言うと大臣が、頭を下げて退室をした。
「・・・・・・・・珍しいな・・大臣が結婚に触れないとは・・・」
最早、習慣ともいえるぐらい、大臣がその話題をしていたため、不思議な感覚がジェラールを包んだ。
「失礼します」
「ああ、入ってくれ」
ヘクター達が、ジェラールのもとに来る。
「ヘクター、バイソン、キャット、アリエス・・・・・・・ルドン地方へ向かうメンバー全員揃いました」
ヘクターがそう言って、アリエス達がジェラールに敬礼をした。
「みんな、突然の召集にご苦労だ・・・・これより、明日の出立に向けて、最終ミーティングを行う」
ジェラールが、ヘクター達を見る。
「今回の目的は、ルドン鉱山の解放により、帝国の財源を確保する事にある・・・恐らく、ルドン鉱山には、罠やモンスターが徘徊しているはずだ・・・・・」
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