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マスターがそう言って、ジェラールにカクテルを出す。
「宝石って、まだでるのか?」
まずヘクターが、あくまで社交的にマスターに尋ねた。
「ああ、まだまだ出るらしいよ・・・・・・去年あたり、宝石があったと言う話しを聞いたしな・・・・・」
「去年あたり?・・・・誰か立ち入ったのか?」
「ああ、うちの若いもんが侵入してなぁ・・・・・・宝石だと思って手を出したら罠で死にかけたって、町中に言っていたからね」
マスターが笑いながら話す。
「罠か・・・・なるほど」
ヘクターとマスターの会話から、ジェラールが罠の存在を確認する。
「おじさん、おじさん・・・鉱山にモンスターとかは、いなかったの?」
「おじさんは、止めてくれお嬢さん・・・・・モンスターは、いたらしいが・・・・・あまり聞いてないからねぇ・・・・・・まぁ、本人も死に目にあい、あまり話してくれなかったしな」
「わかった・・・・・・宝石鉱山がまた開ければ、この町もまた潤うだろうな・・・・」
ジェラールがカクテルを飲み干し、マスターを見た。
「いっそのこと・・・・帝国領に帰順して、宝石鉱山を解散してもらおうかと話しも出ているんだよ」
「帝国領に帰順?」
ジェラールが、首を傾げた。
大臣からの情報で、多少聞いていたが、身分を隠すために何も知らない旅行者を装っているのだ。
「でも一時期は、帝国に反感を持って離反したんだろ?・・・・どうしてまた・・・」
ヘクターが、いまいち納得が行かない表情を浮かべ、マスターを見る。
「皇帝ジェラール様の名声さ・・・・七英雄クジンシーの撃破、カンバーランド王国との提携・・・ジェラール様なら、きっと力になってくれるだろうとみんなが頼っているんだよ」
マスターがそう言って、ヘクターに答えた。
「ふぅん・・・・・・お人好しな皇帝って、有名だもんな・・・」
マスターの返答に、納得のいく要素を見いだして、ヘクターがポツリと呟いた。
『!・・そうなのか?』
「あはは、言えてる」
キャットがそう言って、ヘクターに同調した。
「ルドン鉱山を見に行きたい・・・・・場所を教えてくれるか?」
「ああ、ルドン山脈の入り口から山頂に登る途中に、鉱山の入り口があるよ・・・・・立て札があるから、すぐにわかると思うが・・・・・」
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