主人公登場

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「ふっ。そんなもの、俺にはきかん!」 再び、ダンプのごとき速さで突っ込んでくる。だが俺は、これの正体に見当をつけていた。 それと、それを破るための方法も。 必要なのは、タイミング。 あのスピードでぶつかったら・・・、それだけで冷や汗がにじみ、今すぐにでも横に回避したくなる。だが、そんな気持ちを押しこらえ、踏みとどまる。 まだだ、・・・・・・そこ――! ギリギリまで引き寄せ、寸前で左へ避けた。 そして、すれ違い様にアイツの右膝あたりを斬りつける。 ギャリ!という、金属を裂く音がした。 「うおっ!?」 そのままバランスを崩し、さっきの俺のように床を転がり壁にぶつかって静止した。 ボンッ!と、アイツの膝から、小さな爆発と煙が立ち上る。 「くっ!」 学ランの男が呻く。ま、それもそうだろう。 俺の刀によって裂かれたズボンからは、膝をすっぽりと覆うようなマシンがあった。 あの異常な怪力、その正体はマシンによるものだ。 間接部に装着し、体の動きに連動して動いて力を増大させる。 しかし、このマシンは安全性に問題がある。確かにパワードスーツよりも軽く、同等の力が出る。しかし力を出せればいいかと言われると、そうではない。 力を出した分、力を吸収しなければならないからだ。今の状況でまたあのスピードを出すと、右膝は力を吸収できずに砕けてしまうだろう。 実際に、今アイツは右足を押さえている。が、なんとか立ち上がったところを見ると、砕けてはいないようだ。
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