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砕けてないにしろ、かなりのダメージがあったはずだ。しかし、アイツは何事もなかったようにのっそりと立ち上がった。
「アンタ、頑丈だな」
「ふん。鍛えてるからな」
俺の皮肉に付き合えるほど大丈夫らしい。
アイツは腰の後ろに手を回す。すると、学ランの裾やズボンから、ゴトリと機械が落ちてきた。
「いいのかよ?外して」
「もう必要ない。さっきので使い物にならなくなったからな」
・・・・・・ああ、なるほど。パンチや何をするも、足や腰に負担がかかるからか。
「男らしく拳でいくのか?」
「残念だが、武装召喚は出来ないんだ。パーツでどうこう出来ないもんだからな」
武装召喚は今の技術でもほとんど解明できていない。どこから、どうやって、何故各個人で違う武装が出現するのか。ほとんどが不明なのだ。
俺の刀も不明な点がある。それは、非常に軽いのだ。刀は普通四、五キロあるものだ。しかしこれは大きさは同じでも一キロ程しかない。殆ど片手で扱える。
「さあ、どうする。もうあの怪力は使えない。アンタはターゲットじゃないから、見逃しても良い」
俺は言った。
こいつには用はない。はっきり言って、時間と労力の無駄だ。ターゲットでもないから見逃しても問題はない。
「ふん。オレはこのグループのリーダーなんでな。簡単に下がるわけにはいかないんだよ」
「そいつは勇ましい限りだな。じゃあ、アンタを潰す。――"纏え"!」
俺は刀に命令を下す。
すると刀に炎が纏う。月明かりと遠きに見える都市の光だけの空間を、炎の紅蓮の光が塗り潰す。
「ほう、同じ"炎"を操るとはな」
「不名誉だが・・・・なっ!」
俺は足に力を込め、一気に接近した。アイツは、なにも構えずに突っ立っている。
ハンデのつもりか?なめやがって。
「後悔すんなよ!」
俺の炎を纏っている刀が勢いよく突き立てられる。自分の体重を乗せた、かなりの威力のはず。
だが――
「良い突きだ。ちゃんと急所狙えよ」
全く、効かなかった。刀は服を貫いてはおらず、炎で焼けるはずの学ランは殆ど焦げてすらない。
普通の服では、有り得ない。
「アンタそれ、対マナ繊維の学ランか!」
対マナ繊維とは、その名の通りマナに対して耐性を持った繊維だ。繊維自体もそれなりの強度がある厄介な代物なのだ。
「ふん、気付くのが遅い!!」
アイツの拳が、唸りをあげて振り下ろされる。
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