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「俺は早く帰りたいんだ。いい加減にしてくれ」
「帰すと思うか?そうだったらお前、かなりメデタイ思考の持ち主だな。・・・覚悟しろよ」
男は手をかざし瞬時に魔法陣を組み上げた。
ブレスレット型のリアクターにも、ゴタゴタと違法な追加のパーツがくっついている。
リアクターというのは、大気中にあるマナ粒子を取り込み魔法を生み出すための原動力を作る機械だ。
ただ、民間人に必要以上の戦闘能力を持たせないために普通は制限が掛かっている。しかし、アイツは違法パーツによって各段に戦闘能力が上がっているはず。
本来は白く、凹凸のない綺麗な曲線のはずだが、無骨な形で所々中身が剥き出しだ。
俺も腕章型のリアクターを持っているが、違法ではないノーマルなやつだ。どうみても、俺が不利だ。
アイツのには数値が表示されていて"10000"とある。これは魔法の原動力になる、マナを数値化した値だ。
それに比べ、俺は"2000"
差は五倍。誰からもわかるように、圧倒的に不利。
某サイトの最強小説を見たことがある人は分かるとおり思うが、これほどの差がある場合、・・・・・・多少の無駄を無視し、圧倒的な力を利用して攻めてくる可能性が高い。
まさに、"攻撃が最大の防御"という奴だ。
今の状況を冷静かつ客観的に見て、俺に出来ることは三つ。
一、技で勝負
二、謝る
三、逃げる
俺は冷静かつ客観的に判断し、遠慮なく・・・・・・三を選んだ。
ズガァアアア!!
一瞬で俺がいる階の半分が炎に呑まれた。
遠くに見える街からの淡い光だけのお世辞にも明るいとは言えなかった廃ビルの中が、眼どころか体まで焼き尽くすかのような灼熱の光に呑まれた。
こうなったらもう、技もなにもない。ただ、逃げるだけだ。
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