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「疲れたぁ…」
声を出したのと、倒れたのは、ほぼ同時だった。
家へ着くなり、舞台稽古で疲れた体がソファーへと沈み、そのままウトウトと瞼が落ちる。
ピンポーン
そこへ無粋なインターフォンの音。
無視しようと思ったが、夜遅かった為知り合いだろうと、重い体を起こし、ドアスコープを覗いた。
「あ…」
ガチャリとドアを開ける。
「や、」
右手を軽く上げ、いきなりの訪問者小山がヘラリと笑う。そんな相手に、俺は苦笑するしかない。
「何しに来たんだよ」
「何って、会いに?」
何で疑問系?
まぁ、来てしまったものは仕方ないから、部屋へと招き入れる。
「コーヒーでも飲む?」
「ううん、いい。買ってきたから」
「え?」
そう言いながら、小山は鞄から何やらごそごそ取りだした。
まじまじとそれらを眺める。
「ちゃんと食べてる?お腹すいてたら食べて」
「……ピクニックでもする気なのか?」
「買いすぎた?」
飲み物数本に、お菓子に、パンにオニギリ、それから
「愛情一本?」
栄養ドリンク2ケース。
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