序章

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しかし、公開直後、ちょっきさんが公園のポットン式トイレに携帯を落とし、しかもkusogeの暗証番号を忘れていたというお茶目な失態をやらかしたおかげで、その興行収入は、今も宙に浮いた金となっている。 …そんなC(ちょっきさん)の悲劇はともかく、私は言葉を続ける。 「その推理小説みたいなのを解かないと、画面が元に戻らないみたいなんです…!」 涙目で訴える私を、天然記念物でも見るような目で見ながら、ちょっきさんは黙って電源ボタンを長押しする。 しかし、それでも一向に電源が切れないことに戸惑うちょっきさんは、今度は携帯をひっくり返した。 「こんな物はこうだ!」 裏面のフタを外し、勢いよくバッテリーを引っこ抜くちょっきさん。 「ふははは。 これならどうだ」 笑いながら携帯をおもて面にひっくり返す、ちょっきさんの表情が凍りつく。 「…なん……だと…?」 氷河期の恐竜のように凍りついてしまったちょっきさんの代わりに、私が読者様のために説明を入れる。 「そうなんですよちょっきさん! その携帯、質の悪いウイルスに感染しちゃったのか、バッテリー抜いても電源切れないんですよ…!」 私からのファーストインパクト(衝撃的発言)に、意外にも冷静なちょっきさん。
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