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「ならばこんなお前のゴミ携帯、捨ててしまえばいいのだ」
そう言いながら、ちょっきさんは再び、ゴミ箱に狙いを定めながら、ダルビ●ッシュ有のように振りかぶる。
「お言葉ですが、それ、ちょっきさんの携帯ですよ?」
私からのセカンドインパクト(第二の暴言)に、今度こそ振りかぶったちょっきさんの額から冷や汗が流れ始める。
…かの有名な、華厳の滝のように。
「俺の携帯で何してんだゴミ野郎っ!!」
私の首根っこを両手で掴んで、ガクガクと激しく前後に揺さぶるちょっきさん。
…ああ、こんな荒々しいちょっきさんも嫌いじゃない…。
そんなことを考えつつも、次第に、去年亡くなったおじいちゃんがおいでおいでする姿がクリアに見えてきた。
私は、このままではNの悲劇になってしまうと思い、必死にちょっきさんに向かって訴えかける。
「も…問題を…とけ…ば…なお…る…」
その、ダイイングメッセージのような私の声に、ハッ!と正気を取り戻したちょっきさんが、慌てて首根っこから両手を離す。
「はぁ…はぁ…やばかった…。
こんなゴミ野郎でも、殺せば立派な殺人だ…」
ちなみに、今言った『ゴミ野郎』もちょっきさんの口癖だ。
不思議なことに、この単語も私以外の人の前で使っているのを見たことがない。
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