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とある有名ホテルのスイートルーム。
幾つもある、豪華な造りの部屋の内。
落ち着いた色味の絨毯が敷かれた一室。
そこには一脚でもバカでかいソファが二脚鎮座していて。
その前に置かれたテーブルには、見た目にも華やかなオードブルと、ワイン、シャンパン、ブランデー等のアルコール類が並べられていた。
微かに甘やかな薫りが鼻をくすぐるのは、プレゼントように仕立てたブーケのせいか。
「要。準備できたか? もうすぐお姫様達が来ちまうぜ?」
「ん……あぁ……」
と、そう言って声をかけてきたのは、高級ブランドのスーツを身に纏ったジゼルだった。
俺も決して背は低い方ではないが……。
そんな俺から見てもジゼルは、コイツ何センチあんだよってくらいの長身の持ち主で。
所謂クォーターってヤツらしく、白過ぎない肌色は母親譲りのものだとか。
加えて、アイスブルーの瞳とストレートの黒髪のバランスが絶妙で、整い過ぎた感のあるその顔立ちは、流石は欧米を賑わす歌い手って所か。
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