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しかし……。
そんなヤツが偶然にも凛の友達の彼氏だって言うんだから。
世の中なんてホント狭いもんだよな。
* * *
俺がジゼルと知り合ったのは、つい一週間程前の事だ。
休暇を取って、遥々日本まで恋人のアキヒサに会いに来たらしく。
長い黒髪に、黒曜石みたいな黒目。
小柄で可愛らしい顔立ちをしたアキヒサとジゼルが二人で並ぶと、彼女が余計に小柄に映って見えた。
しかし、何の因果なのか……。
ジゼルとアキヒサ、凛と……俺。
四人でカラオケに行く事になって。
そこで何故か野球拳をして、何故か上半身裸になり、何故か屈辱のポッキーゲームをする羽目になった俺達男二人。
あの時の事は、今思い出すだけでもムカっ腹が立って仕方がない。
* * *
と、曖昧な返事をジゼルに返しながら、ソファの背もたれにかけていたスーツに袖を通す。
このスーツ。
ジゼルが今着ているものと同じ、とある高級ブランドのもので。
値段的にも、一着だけで普段俺が仕事で着ているスーツの何倍もするような代物だ。
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