開宴

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それをいきなり飛び込んだ店で、取り敢えずここからここまで、と、何の迷いも無く買い込んでしまう辺り。 金持ちの外国人の考える事はよくわからない。 そして、このバレンタインパーティーをしようと言い出したのもジゼルだ。 季節柄、行く先々の店の店頭に並ぶチョコレートの山が余程不思議に映ったんだろう。 日本のバレンタインデーは、女が男にチョコを渡して告白する日なんだと教えてやると、アイツは驚いたように目を丸くしていた。 ジゼル曰く、欧米では男が女をもてなして愛を囁く日なんだとか。 で、自分の泊まっているホテルの部屋でバレンタインパーティーをするから、凛にもドレスアップして来るように連絡しとけと。 そんな話になったのがつい昨日の事で。 急過ぎだろ……と思いつつも話をしてみれば、凛はとても喜んでいたし、どうやらアキヒサも乗り気らしい。 そうと決まれば、ジゼルの行動の早い事。 まぁ、アイツは口を出すだけで、実質的な準備をしたのは俺なんだが。 ただし……。 このパーティーには、もう一つ。 俺達男二人の甘い企みが隠されていて。 当然と言えば当然だが……。 今のアキヒサと凛に、その事を知る術がある筈も無かった。
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