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俺はこいつと共に、いつまでもこの山を守るつもりだ。
「それも永遠ではなかろうに。人がいつか死ぬように、木もまた朽ちる。その時に一緒に朽ちるのだぞ?」
こいつと死ねるなら本望だ。
彼はフッと笑って、呆れたように笑った。
「はぁーあ、なら、さっさと朽ちて、楽になれ」
つれない事言うな、子々孫々、お前たちを見守ってやる。
「あぁ、そうしてもらおう」
袖から札を取り出し、少年に渡した。
これだけか?
「お前は暴れないだろうから、これだけで十分なんだ」
…いまいち信用できん。
「なにおぅ! お前は麻呂を信用出来ぬのか」
嘘だ。俺は、これで封印が解けないか心配なんだ。
「はっはーん、そういう事か。大丈夫だ、下手に暴れなければ、千年はかるいぞ」
だと良いがな。
「なに、お前相手に嘘などつかんよ。安心しろ」
…信じよう。
少年は札を自分の胸に貼りつけた。
その瞬間に、地面に線が描かれ輝き出す。
少年はゆっくりと木にもたれかかり、中に沈んでいった。
完全に入りきったあと、線は消え、彼は少し、鼻をすすった。
「ゆっくり眠れ、鬼良(きら」
そして彼は、来た道をゆっくりと戻っていった。
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