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「真奈美ー!」
後ろから名前を呼ばれ、校門を出て帰ろうとしていた真奈美(マナミ)は、振り返った。
おさげにして2つにくくっている黒い髪が、肩を流れる。
2つくくりのおさげは、実は校則で決まっている。
『髪の長い女子は、1つまたは2つに、地味な色のゴムでまとめること』
もちろん、そんなのほとんど誰も守っていない。
だが真奈美は律儀にも、その通りにしていた。
他にも、ブレザーの下のブラウスは学校指定の白だし、スカート丈は膝下。
さらに靴下は白のハイソックスで、靴は黒のローファー。
そのまま生徒手帳に『正しい学生』の見本として載れそうなくらい、完全な優等生の見た目だ。
そして、優等生なのは見た目だけではない。
成績優秀、品行方正。
性格は真面目で、礼儀正しく、しっかりもの。
真奈美はまさに、大人が思う『優等生中の優等生』なのだ。
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