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「なにエリカ? ゴメン、私、ちょっと今日急いでいるんだけど」
そんな真奈美は、クラスメイトで友達のエリカの呼び掛けに、少し慌てたように答えた。
どこかそわそわしている。
「あー、そうなの真奈美? 何か用事? よかったら、買い物付き合ってもらおうと思ったんだけど」
「ゴメン。実は、今日から家庭教師が来るんだ」
真奈美は、エリカに手を合わせて謝った。
エリカは驚いた顔をする。
「え!? 家庭教師? 何で。真奈美、めっちゃ成績いいじゃん」
「そんなことない。だって、中間、成績落ちたし」
「落ちたって言っても、1位から2位になっただけでしょ。それで家庭教師! 真奈美のウチ、厳しすぎない?」
「……そんなことないよ」
(だって、家庭教師を呼んでほしいって言ったの、私だもの)
真奈美は、こっそり心の中でささやいた。
「んー、まあ、そういうことならしょうがないか。じゃあ、頑張ってね真奈美。今度、買い物付き合ってよ」
「うん、わかった。じゃあね、エリカ」
真奈美はエリカと別れ、少し駆け足で家への道を急いだ。
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