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乱雑極まりない処置をされた後、男は満足気に息をつき、そして急に真顔になった。
「さて、今度はてめぇの番だ」
私はむくれっ面をしていた。
その為、無造作に貼られた口元の絆創膏が更に歪んでいた。
「お前何で此処にいる? 問題起こしたんなら逃げずにさっさと学校戻って先公に謝ってこい」
「逃げてねぇし。てか何で逃げて来たって言い切んの?」
表情を崩さず言った私に、彼はため息をついた。
「逃げてねぇんなら保健室に寄ってたはずだ。嫌が応でもな」
「逃げてない。抜け出して来ただけだ」
「逃げてんじゃねぇか」
「言い方の違いだ」
「はい はい、じゃあ学校を抜け出して来たお嬢さんはもう学校に戻って下さい。手当ても済んだし、もうお節介はしねーからよ」
『降参だ』と言わんばかりに両手をひらひらと上げる彼に、私は又もやムカっと来た。
何だよ…
どうせ突き放すんなら優しくすんな……
私は拳を握り締め、腹の底に力を入れて叫んだ
「停学処分下された直後に学校行きたがる馬鹿が何処にいる!!?」
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