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「…………」
「…………」
しばらく沈黙が続いた。
そういえば今朝から牛乳しか飲んでなかったっけ…
給食だけ食べに学校戻る訳にもいかないし、今からどうしようかな…
そんな事を考えていると、ガサゴソと男がリュックを漁る音で沈黙は破られた。
「ほらよ」
男は私におにぎりを差し出した。
「ラッキー」
私は何の躊躇いもなく空いてる方の手でそれをひょいと受け取って直ぐさまかぶりついた。
「お前……本当に女か?」
手についたご飯粒を舐め取っていると、男はげんなりとした様子で私に聞いてきた。
「性別にこだわった覚えはないけど」
「あ そ」
そう言って男は私に背を向けた。
「ホラ、食い終わったんならとっとと仕事に掛かるぞ」
その時の彼の背中が何故かとても輝かしく見えた。
ドキン…
ん?
何だ今の?
まあいいや。
どうせ今から学園に帰っても学校から連絡を受けているであろう先生に説教喰らうだけだし、街をうろついてまたケンカするのもめんどくさい。
私はペンキブラシをぎゅっと握り締め、彼の後を追っていった。
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