狩野 緋桜

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ミーン ミーン もう9月も半ばだと言うのにけたたましく響く蝉の声 「あちぃ…」 私は半袖のセーラー服の裾をパタパタさせた。 体にはじんわりと汗が滲んでいる。 鬱蒼とする雑木林の中、私は迷い込む様に辺りをぐるぐると歩いて行く。 最も、いくら立入禁止となっているからと言ってこんな校舎裏にある林なんかで迷子になる事など有り得ないが。 しばらく歩いていると、 何か鼻を刺す様な臭いに気付いた。 臭いの漂う方向へ顔を向けると、木陰に隠れる様にしてうずくまっている人の背中が目についた。 ドクン
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