狩野 緋桜

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心臓が飛び跳ねる程驚く、とは正にこの事だろう。 私は条件反射の如く声のした方へ視線を戻した。 先程の人物がこちらに歩み寄って来る。 少し長めの金髪 怪訝そうに見つめる垂れ気味の目 薄い胸板 左腕にはタトゥーが… そして何故か両手には薄紫の汚れがついていた。 「お前、そこの中学の生徒だろ」 私の手前で足を止めるなり、彼は聞いてきた。 「そうだけど」 私は内心びくついているのを相手に悟られぬ様、相手を睨みつけながら答えた。 「今授業中じゃねぇの?」 うぜぇ… 「授業? 何それ、美味しいの?」 言ってからちょっぴり後悔した。 男の眉がぴくっと動いた。 「それよりあんた此処で何してんの? 此処立入禁止のはずなんだけど」 わー!! 何余計に煽る様な事言ってんだ私は! もし彼が本当にヤバい奴だったらきっと此処で―… 「お互い様だろ」 あれ? 「つか お前、イジメられてんの?」
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