狩野 緋桜

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私には親がいない。 物心ついた頃には既に『青葉学園』にいた。 『先生』がいる 『年上の子』がいる 『同い年の子』がいる 『年下の子』がいる だけど『血縁者』じゃない 私はこれが普通だと思っていた。 「夏休みにねー、美咲ママとイタリア旅行に行くんだぁ」 ふーん 「佳奈はねぇ、夏休みパパと一緒にわんちゃん見に行くのー」 ふーん… 「いいよなー。うちの親なんか『通信簿にアヒルばっか飼ってる奴にやるご褒美なんてない』ってー」 ふーん…… 「ねー ねー、緋桜ちゃん家の親は夏休み緋桜ちゃんと何すんの~?」 「ばかっ!緋桜ちゃんは『青葉学園』の子だから親がいないんだよ!」 え……? 私には親がいないのが普通だと思っていた… 『青葉学園』の子達も親がいないし、親の事を話す子も少ない。 ただ、その子達の話しを聞いていて「うちの母さん僕を毎日叩くんだ」「うちのパパ毎日ぼーっとしてて、たまに何もないのに一人で笑ってるの」「うちはお父さんとお母さんラブラブで二人で一つの段ボールで寝てるよ。朝ご飯は二人で一つの食パンを半分こ♪」と、私の中では『親』という存在は変な人達なんだぁ、程度のものだった。 だけど… 何? 『青葉学園の子だから』って…?
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