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彼女の瞳は金色に輝き、頬は僅かに上気している。
それ以外は先程のカウンターの中にいた彼女と何も変わらない。
まるで恋人に甘えるように、体を寄せてきた。艶やかな黒髪からシャンプーの匂いがした。
両肩に手が添えられて、金色の瞳がさらに近くなる。
私は首を反らし、あらわになった首筋を彼女に差し出す。
「ありがとう」
彼女はゆっくりと私の首筋に朱色の唇を近づける。
柔らかく温かい感触を首筋に感じた時、背骨に走った感覚は明らかに快楽だった。
柔らかく熱い舌が首筋を這う。
私は彼女のうなじを見つめながら、両腕でその体を抱きしめたかった。
だが、腕はぴくりとも動かない。
(生殺しだ)
欲求だけが高まっていく。
「んっ」
千夜が甘い声を上げて牙を首筋にたてる。
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