冬の夜にジントニックを

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「な、なんなんだ」  ハイカウンターをよじ登るようにして起き上がり、カウンターの向こう側の彼女を見た。  彼女は微笑みながら、グラスに水を注いで私の前においた。 「ジャックはインテリア兼用心棒です」  震える手でグラスを受け取りながら聞いた。 「ここはお化け屋敷か?」 「そうですね、否定しません。お客様にもおられます。でも、普通のかたも多いですよ」  水をゆっくりと飲む。グラスを置いた時にまた聞かれた。 「どうします?」 「また、来ていいかい?」 「もちろんです」  千夜さんのその笑顔にようやくほっとした。 「また、血を吸ってくれても、いや、吸ってくれ」  千夜さんは目をぱちくりとさせて、呟くように言った。 「あら、嬉し」 「毎日でも、吸いつくしてくれても」  千夜さんはフフッと笑って言った。 「ありがと、伸さん。でも、毎日はいりませんよ」
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