カフェ･カーミラ

冬の夜にジントニックを

　私がカフェカーミラを見つけたのは、まだ冬の寒さが終わらない２月の末ぐらいだった。
　珍しく仕事が定時に終わり、給料日後でもあったので、駅前の焼鳥屋でビールを２杯飲んだ。その後に、馴染みのバーに行ったが、あいにくと臨時休業の貼紙がしてあった。
　短い舌打ちをして、どこかちょうど良さそうなバーを探した。しかし、そこで出来たばかりのガールズバーに立ち寄った。のが間違いだった。なにせ、酒がまずい。女の子は可愛くない。最初のハイボールを飲みほさないうちに店をでた。
　ひどくイラつきながら、我が町へと帰る電車に乗った。
　私の住む町は、会社まで各駅停車で３０分のところにある。いわゆる住宅地で飲む店は少ない。駅前にチェーンの居酒屋と２軒ほど焼鳥屋があるくらいで、後はスナックが何軒か、小洒落た店は無かった。
　なんとなく飲み足りなさを感じながら帰り道を歩いていた。
　そして、気まぐれで普段は歩かない川沿いの道を歩きだした。