ダークラムをロックで

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 軽い音を立てて扉が開いた。 「いらっしゃいませ」  千夜さんの声が店に響く。 「おひさ~」  にこやかに入ってきた女性を見て、水商売で働いているな、と思った。 「カナ、元気?」 「千夜ちゃん、元気~」  ファー付きの白いダウンジャケットを脱ぐと、胸元が開いたヒョウ柄の長袖のTシャツ、そして、ホットパンツに柄の入ったストッキングをしていた。  髪も明るい色に染めて、ウェーブがかかっている。化粧は濃いようだが、肌は吸い込まれそうなほど白かった。  彼女がこちらをすっと見る。目が合ったときどきりとした。 「あ! この人が新しいエサ?」 「えっ」  私の口からはなんとも間の抜けたものしか出てこなかった。 「エサって言うな」  これは千夜さんの言葉だった。彼女のくだけた口調ははじめてだなと関係のないことがふと思い浮かぶ。
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