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「えー。駒井さんがメールで新しいエサキターって」
「もー、あの人」
会話について行けず、少し引いていた。
「千夜ちゃん、カシスソーダちょうだい」
彼女は笑いながら注文をする。
「あの……、エサとかオレ?」
おそるおそる聞いてみた。
「ほかに誰がいるん?」
カナはニヤニヤと笑いながら言った。
「だから、エサ言わんとって」
「なんて言うんよ」
「提供者」
「エサでええやないのー」
会話から外れた形になってしまった。しかし、エサと言われると、少し落ち着かない。こう胃の底あたりがきゅっとなる。
ジントニックを口に含む。意外に口の中は渇いていた。
ふと視線を戻すと、上目遣いに覗き込むように私を見ているカナの顔があった。
驚いて体が後ろに逃げる。
「ウチは喰わへんよ」
そう言うといたずらっぽく、ニヒヒと笑った。
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