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「ま、今日はウチのおごりや。飲んでや。千夜ちゃんもな!」
カナはケタケタと陽気に笑いながら、ラムを飲む。ダークラム特有の甘い香りが漂ってきた。
3杯目を飲み干したところで、彼女は私に隣に座れと言ってきた。少しの下心と目が据わりかけの祟る方には逆らいたくなかった。
言われるままに横に座ろうとしたときに、ちらと髪の間から細く白いうなじが見えた。
ドキっとして少し動きが止まってしまう。
「んー?」
カナが動きを止めた私を見上げる。
酒で潤みかかった大きな瞳に桜色の唇、白い肌にわずかに色付いた胸元。思わず見入ってしまった。
「すーけべー」
彼女はからかいながら、ニヒヒと笑う。そして、ロックグラスを持ち上げて、今度は邪気なくにっこりと笑う。
チン。
グラスが触れ合って澄んだ音を立てる。
「乾杯」
小さな声でカナが囁いた。
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