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―――――――
「それでも良いから」
「……あ」
「俺が、忘れさせてやる」
「…う、ん」
「だから……なあ……」
断っても断っても、何度も想いを告げてくる男友達。
叶わない恋なんて、するだけ無駄なんだと……私を洗脳するかのように。
「私、傷つけるよ」
「うん」
「絶対、絶対絶対絶対、傷つけるよ」
「うん」
「それでも、良いの…?」
「当たり前だろ。そのために、俺はいるんだから」
微笑みを浮かべて、私を見つめる。
この人はきっと分かっているのだろう。
何をしたって、どんなに尽くしたって、私の気持ちが自分に向くことはないと……きっと、分かっている。
「うん……よろしく、お願いします」
そんな優しさに、私が甘えない訳が無いということも。
頬を赤くほてらせて、「ありがとう」と幸せそうなこの人。
「俺……頑張るから」
「……うん」
そうして、1ヶ月もしないうちに、別れを告げる。
「ごめんなさい。やっぱり…無理なの」
恋人ごっこを繰り返していた、中1の春。
そんな時、あの人に出逢った。
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