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「康介うるさーい」
「益岡には負けるー」
「何だと?」
「お?やるか?」
莉々花を挑発して、追い掛けられながらも、楽しげな柏井。
よく見てみれば、莉々花の頬がほんのり赤くて。
嗚呼、やっぱり可愛い。
高鳴った鼓動は気のせいだと、自分に言い聞かせて、また携帯を弄っていると、柏井の声がした。
「あれ?大西って携帯持ってたん?」
「……え、あ……うん、一応」
「俺さ、部活の人らのアド制覇してんだ!!
でさ、よかったら大西のアド教えてくれん?」
「あ、うん。別にいいよ」
「サンキュ!!
あとでメモって教室に持って来てや!!」
「了解」
そろそろ戻らねぇと、真面目ちゃんが怖いかな~なんて、おどけながら教室を去った柏井。
……びっくりした。
深呼吸をして、時計に目を向ける。
11時……妥当かな。
「夏樹、美紀、楽器片付けよ」
「……あぁ。了解」
「さすが里奈♪」
3人で顔を見合わせて、ニヤリと笑う。
そんな私たちを見ていた莉々花は、クスクスと笑いながら教室を去った。
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