第一話

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  「康介うるさーい」 「益岡には負けるー」 「何だと?」 「お?やるか?」 莉々花を挑発して、追い掛けられながらも、楽しげな柏井。 よく見てみれば、莉々花の頬がほんのり赤くて。 嗚呼、やっぱり可愛い。 高鳴った鼓動は気のせいだと、自分に言い聞かせて、また携帯を弄っていると、柏井の声がした。 「あれ?大西って携帯持ってたん?」 「……え、あ……うん、一応」 「俺さ、部活の人らのアド制覇してんだ!! でさ、よかったら大西のアド教えてくれん?」 「あ、うん。別にいいよ」 「サンキュ!! あとでメモって教室に持って来てや!!」 「了解」 そろそろ戻らねぇと、真面目ちゃんが怖いかな~なんて、おどけながら教室を去った柏井。 ……びっくりした。 深呼吸をして、時計に目を向ける。 11時……妥当かな。 「夏樹、美紀、楽器片付けよ」 「……あぁ。了解」 「さすが里奈♪」 3人で顔を見合わせて、ニヤリと笑う。 そんな私たちを見ていた莉々花は、クスクスと笑いながら教室を去った。  
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