喋れないからなんだ

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「む、カリシアか、おはよう」 「(おはよう、父上)」 「父上を書くの面倒だろう・・・『パパ』で良いぞ」 「(俺が嫌なの)」 スケッチブックに早く、それに誰にでも読めるように達筆に書き綴る ある意味、これは声を失った代わりの才能、おかげで、カリシアは父の手伝いの書類の整理では重宝されていた 「おまえがいなくなるとさみしいよ」 「(ただ自分の仕事の負担を減らしたいだけでしょ)」 「むぐぅ・・・」 そう父が唸ると俯いてしまう が、一瞬で明るい顔に戻る 「しかし、もうお前は後継ぎとしては申し分無い!私より仕事が出来るからな!!いやぁ、鼻が高い!!」 ワハハハ!!と部屋に大きな声が響く 「あなた、カリシア、おはよう」 「(おはよう、母さん)」 「おはよう、マイハニー」 母がやってきたことにより、料理が運ばれる 運び終わると、メイド達もテーブルに座る 普通じゃありえない光景、主人と同じテーブルで食を囲むメイド達、いや、シェフも居る。 しかし、これが『フレム家』の日常だったのだ
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