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「あ……違いましたよね、ご免なさい…」
何の反応も示さない僕を見て彼女は俯くと、寂しそうに呟いて頭を下げた
「いや、合ってるよ…伊藤千春さんだよね?…ごめん、こんな所で会うなんて思ってなかったから…」
気まずそうに立ち去ろうとする彼女を慌てて呼び止めて僕は口を開いた
「やっぱり…一目で分かりました、遥くん…変わってませんでしたから、雰囲気とか…」
彼女は嬉しそうに微笑みながら僕を見詰めて言葉を並べた
そんなやり取りをコンビニの出入り口付近でしていると周囲からの視線が少し痛く、それに気付いた僕達は場所を変える事にした。
そして訪れたのは近くにあった公園だった
「何年振りでしょうか…」
ベンチに座ると、彼女は顎に指を当てながら呟いた
「高校を卒業してからだから、7年振りだね」
僕もベンチに腰を下ろして微笑混じりに答えた
「覚えてなかったの、そんなに可笑しかったですか?」
彼女は拗ねた様に唇を尖らせて尋ねてきた
「違うって、千春さんも変わってないな…って思ってさ…考え事してる時にする癖が、ね?」
今、僕の目の前にいる彼女の雰囲気や口調などは、凄く新鮮な感じがしてまるで別人の様に感じていた。
けれどその中に、以前と変わらない仕草を見つけた僕は、昔の彼女を思い出して、目の前にいる彼女との違いに思わず笑ってしまったのであった
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